マーティン・リンストローム 著
2008年11月20日 発行
流行の脳神経科学をマーケティングに活かした、ニューロマーケティングという新たな手法の有効性を説く一冊。2000人以上の実験を6年かけて行った、実例に基づいた手法の紹介である。
新たなマーケティング手法としての評価はおいておいて、脳神経科学の実験例としては楽しめる。ただ、本格的にマーケティングに取り入れるにはコストがかかりすぎるのは否めないだろう。使える分野は限られている。ただ効果は絶大だと思う。
ブランドの本質は感情に支配されており、宗教に近いというのが、脳神経科学で証明されているのは興味深い。正しい判断の理性を瞬時に覆す力がそこにはあるという事である。宗教に近いという事は、それなりのアプローチをしないと、強力なブランドは構築できないと言うことである。
新たなマーケティング知識、ブランド概念を得られたのは非常に良かった。惜しむらくは、せっかく2000人もの膨大なデータを集めたのだがら、もう少し学術的なアプローチがほしかった。データの開示、それに基づいた違う角度からの見解があると尚面白いと思うのだが・・・。数字、データの裏付けとなる表現がすくなかったのが残念。
脳神経学的なアプローチのマーケティングをもっと簡単にする方法、もしは脳神経科学的な切り口で、データをみれるように今後検討したいものである。
○メモ
人間の発言と行動は一致しない。アンケートやフォーカスグループにまったくの意味が無いとはいわないが、限界がある(P8)
市場調査で用いられている科学は、心理学ではなく、高等数学。統計的適切性、標本の大きさ、標準偏差、Z検定、t検定。(P9)
ニューロマーケティングはハンマーのような道具。(P15)
新製品の90%以上が発売から3ヶ月以内で失敗に終わる 日本(P19)
世界で吸われているタバコの3分の1は中国(P25)
タバコの警告は、「欲望スポット」と呼ばれる側坐核を刺激していた(P31)
固定概念に満ちた不合理な真理が、選択に絶大な影響を与えている(P35)
ストレス、恐怖、不安を感じれば感じるほど、不合理な行動をする傾向にある(P36)
脳の85%が自動運転。広告費の半分は無駄である。問題はどの半分が無駄か分からない事(P37)
アメリカ 90%以上が1年後に棚から消える。新ブランドの52%、個々の商品の75&が失敗に終わる(P42)
おいしいと感じると刺激を受ける、服側被殻 ペプシ ペプシチャレンジ(P44)
理性対感情。内側前頭前皮質 高度な思考や認識をつかさどる部分(P45)
ノーライMRI 嘘発見器(P50)
SSTはリアルタイム、fMRIは数秒の遅れ(P53)
66歳までに200万回コマーシャルをみる。1965年は34%が広告を覚えていた。1990年は8%(P57)
アメリカンアイドル 30秒CM フォード2600万ドル(P63)
初めてのプロダクト・プレイスメント ET(P65)
匂いで前回のドーパミン・ラッシュの体験を蘇らせる アバクロ(P91)
ヴィカリの実験は自作自演だった サブリミナル(P95)
TV広告が禁止されたタバコ会社は、サブリミナルなブランド露出に膨大な予算を使った(P108)
直接的な画像をみた場合よりも、サブリミナル画像を見た場合の方が被験者の報酬系、欲望系スポットの活動が高かった(P113)
ギネス ゆっくりと注ぐという短所を儀式に変えて成功(P118)
歩くスピードは10年で10%速く、話すスピードは10年で20%速くなっている(P120)
儀式は精神的、肉体的な健康にとって有益。決められた日課のある仮定の子供は、全体的に健康で、成績が比較的よい(P121)
また儀式は精神衛生にも影響がある(P122)
ホットハンドは迷信。1本目に成功した場合と失敗した場合の2本目の成功率は変わらない(P128)
ブランドに対するこだわりは儀式や迷信的行動と共通点がある(P135)
強いブランドと宗教的な偶像シンボルでは、被験者の脳の反応には明確な違いがなかった(P158)
ソマティック・マーカー(P165)
匂い意外の場合は、脳は考えた後、反応するが、匂いは考える前に反応する(P186)
スーパーの入り口のパン屋。匂いだけ出す店舗もある(P188)
多くの場合効果的なのはセックスを連想させることよりも、論争による注目効果。(P231)
マーケティング、広告、ブランディング戦略の大半は憶測ゲームにすぎない(P242)
お勧め度 ★★★☆☆
ビジネス ★★★☆☆
一般教養 ★★☆☆☆
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